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経営人事コラム

人事報酬戦略の要点 
2011/07/06

人事報酬戦略は、2つの側面で考えることが必要です。
1つは会社業績と人件費総額をバランスさせること、もうひとつは社員個人の
貢献と報酬をバランスさせることです。何より大切なことは、人件費の総額は
会社業績に連動させて決めることであり、個々の社員の報酬を積み上げて総額
としないことです。つまり、総額が先、社員への配分が後ということです。

業績に連動する人件費決定メカニズムを持つということは、経営を安定させる
という効果と、社員に業績構造を理解させ業績向上と自分の仕事の関連を本気
で考えさせるという2つの効果があります。

経営の安定だけを考えれば、支払余力から人件費を決める仕組みを作ればよい
ことになりますが、それでは本当に強い会社をつくることはできません。社員
の力で業績を上げる強い会社にするためには、社員が業績向上に対し主体的に
考え、取り組む仕組みが必要です。

会社業績とは、競争環境に左右されるものです。しかし、その厳しさを受け止
め業績向上に責任をもって経営に参加してほしい、この想いを伝えることが人
件費を業績連動化することの本来の目的です。

単なる人件費削減であれば、経営の判断で正しい手順を踏んで断行できないわ
けではありません。しかしそれでは、業績に対する社員の当事者意識や自らの
仕事の改善、もう一歩高い目標に挑戦するといった前向きな行動を引き出すこ
とはできません。業績とはどのような構造で、人件費はどの利益から出るもの
なのかを理解させ、同時に社員に業績向上の必要性を認識させ、顧客開拓、商
品開発、サービス向上といった組織的な事業活動に責任感を持たせることがポ
イントです。

◇ ◆ ◇

人事報酬改革で業績回復を実現させている企業の事例を紹介します。この数年
間は業績低迷に苦しみ、固定費を賄うだけの業績を確保することができない経
営状態でした。経営トップは社員感情を配慮し、またどちらかと言うと業績と
は経営トップの責任であるとの考えから、蓄えを取り崩すことで、経営をやり
繰りしてきました。

しかし、そのような状況は長く続きません。

銀行への融資依頼が経営トップの仕事になってしまい、顧客開発と商品開発の
最前線が手薄になり、結果として社員に事業活動を委ねてしまいました。とこ
ろが、事業運営の指揮を委ねられた社員のほうは、数年間の業績赤字にもかか
わらず、賞与は満額支給され、給与は毎年増加し続ける環境に浸っていました
から、危機感もなければ対応力もなく、悪循環に陥っていたのです。

この会社でまず取り組んだことは、幹部社員に組織的な業績を上げる施策を徹
底的に追及させたことです。毎日の仕事を業績向上活動に切り替えることで、
不要な仕事を削減し、付加価値を生む仕事への転換を着々と進めました。時間、
場所、そして人の活用、いたることろにムダがありました。それを適正化する
現場の改善を行い、業績へのプラスの跳ね返りを実感させることが第一のステ
ップでした。その上で、業績に見合わない人件費の適正化に取り組んだのです。

生々しい話ですが、賞与カットや人員削減に取り組みながら、業績向上の取り
組みに挑戦してきました。そしてリーマンショックと呼ばれる金融危機を迎え
るちょうどその時期に、世の中の企業とは反対に、黒字化を実現し、着々と体
質改善に取り組んでいます。

体質改善には余剰を切り詰める短期的な取り組みと、社員の意識と行動改革と
いう中期的な取り組みを同時に進行させています。そして、この景気の下でも、
会社業績の黒字化を反映させ、年末賞与は増額を実現しています。

何より、社員が「報酬は業績から捻出されるものだ」という認識ができ、経営
の舵取りが機能しています。本当の意味での筋肉質を実現させた企業の一例で
す。

 

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